私は20年ほど、ラーニング・アドバイザーという仕事をしています。
対話を通して、学習者のリフレクション(内省)を深め、自律性(learner autonomy)を育成するという仕事です。
この仕事をしていると、学習者のいわゆるaha-momentに遭遇することがよくあります。雷に打たれたような、ハッとする気づきがある瞬間です。その瞬間というは、見過ごすことができないほど、こちらにも伝わってきます。
そんな瞬間の証人になれるこの仕事が私は大好きです。好きすぎて、現在ではアドバイザー・トレーナーをやっています。アドバイザーをもっと増やして、1人でも多くの方に、対話を通した気づき・発見を体験してほしいからです。
これまでは大学をベースに活動してきまたが、幅広い方に向けても活動をしたい、という気持からこの度、『学習意識改革ノート』(大阪大学出版会)を執筆し、そのノートを活用した「学習意識改革プログラム」というオンラインプログラムを立ち上げました。
月に2回のライブ講義を金曜の夜に1時間半行い、参加者はそれぞれの目標に向かって、3か月走り抜ける、とうものです。『学習意識改革ノート』でご紹介している8つの法則の解説をしながら、本では書ききれなかったことをお話し、みなさんと一緒に31のワークを行っています。
2024年6月に第1期を開始し、つい先週、プログラムを終了しました。
まだまだ余韻に浸っています。
「対話のチカラ」に魅了されてから、ずっと「学び」と「対話」を促すリフレクティブ・ダイアローグ(Kato &Mynard, 2016、加藤・マイナード, 2022)という手法の普及につとめてきましが、このプログラムを通して、さらに対話のチカラに魅了されました。
対話には、大きく分けて自分の中で行う「内面的な対話」と聞き手がいる「他者との対話」があります。
私たちは日々、内面的な対話を自然に行ってます。
「昨日、何食べたっけ?」といった行動の振り返りから、より深い「これでいいんだろうか?」「どうしたらいいんだろう?」という振り返りまで、さまざまな問いを自分に投げかけています。
しかし、実は他者との対話を通してのリフレクションは、あまり行える機会がないのです。というのも、他者とのリフレクションには一定のフレームワークがないと、単なる会話で終わってしまうからです。対話を通したリフレクションを促すには、プロセスが必要なののです。
自律性を促すリフレクティブ・ダイアローは、リフレクションを他者と協働で行うことで、自分ひとりでは到達できない気づきを促すというものです。対話を通して得た気づきや発見、そして聞き手と話し手の間に生まれる共感は、本当にパワフルです。これは体感された方はわかるかと思います。
本プログラムでは、そんな対話を軸に活動を行っています。
1期生の方々の繋がりは深く、学習を諦めそうになったときも、仲間同士で支え合って3か月、共に頑張る姿は見てるこっちもぐっとくるものがありました。
第2期もそんな方々との出会いを楽しみにしています!
【学習意識改革プログラム】第2期は10月スタートです。現在、申し込み受付中です。
くわしくはこちら↓
References
加藤聡子・義永美央子(2024).『学習意識改革ノート―外国語を自律的に学ぶための3か月プログラム』大阪大学出版会.
Kato, S., & Mynard, J. (2016). Reflective dialogue: Advising in language learning. New York, NY: Routledge.(義永美央子監訳2022『リフレクティブ・ダイアローグ 学習者オートノミーを育む言語学習アドバイジング』大阪:大阪大学出版会.)
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